爬虫類びより
アカハライモリ(Cynops pyrrhogaster)

アカハライモリ

Cynops pyrrhogaster ・ 日本固有種(本州・四国・九州とその周辺離島に広く分布)原産

UVBライト
不要
ハンドリング
眺める向き
餌のタイプ
冷凍アカムシ・イトミミズ等の活き餌が基本(人工飼料への段階的な切り替えも可能とされる)
寿命目安
10〜20年程度(情報源により5年〜40年超まで幅があり、良好な環境下での長寿個体は20年を超える例もあるとされる)
初期費用目安
1.5〜3万円程度(水槽・フィルター・ヒーター等の基本セット。生体価格自体は数百円程度からと他種に比べて非常に安価)

飼育難易度:中級者向け

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他の種とも比べてみたい方は種の比較表もご覧ください。

概要

アカハライモリは、本州・四国・九州とその周辺離島に分布する日本固有種のイモリです。背面は黒褐色、お腹は鮮やかな赤やオレンジ色で、この赤い腹部が名前の由来になっています。「イモリ」といえばこの種を指すほど古くから日本人に親しまれてきた身近な両生類で、田んぼの水路や池でよく見られました。

半水生(水場と陸場の両方を必要とする生態)という点で、既存6種の中では完全水生のウーパールーパーに最も近い立ち位置ですが、水槽の中に陸場(浮島や流木)を作る「イモリウム」というレイアウトが必要になる点で飼育スタイルは異なります。日本の里山環境に適応してきた種のため、飼育難易度自体は比較的低いとされる一方、後述の通り準絶滅危惧種であることから、購入時には人工繁殖個体を選ぶという配慮が求められる種でもあります。

特徴

  • 背は黒褐色、腹は赤〜オレンジの鮮やかな警告色(毒を持つことを示すとされる)という強いコントラストが最大の特徴
  • 皮膚にフグ毒と同じ成分であるテトロドトキシンを保持しています。詳しくは後述しますが、触れただけで中毒するものではなく、傷口や粘膜(目・口など)に付着した場合にリスクがあるとされています。触れた後の手洗いを徹底してください
  • 繁殖期にはオスが尾を使ってメスにアピールする独特の求愛行動が見られることでも知られています
  • 冬場は動きが鈍くなり、低い水温でもある程度耐えられるとされる一方、夏の高水温には弱く、他の爬虫類とは逆に「暑さ対策」が飼育の主な課題になります

飼育のポイント

適正水温は20〜27℃程度とされ、28℃を超えると徐々に負担がかかり始め、30℃前後まで上がると衰弱・拒食のリスクが高まるとされています(この数値は情報源によって幅があり、統一された基準は確認できていません)。ウーパールーパーと同じく、冬の保温よりも夏場の水温上昇をどう抑えるかが飼育の核になります。エアコン管理を基本とし、冷却ファンや小型クーラーを補助的に使うのが安全です。

水槽内には、水場に加えて浮島や流木などの陸場を用意する「イモリウム」スタイルが基本です。水場と陸場の比率は水場を広めに、陸場は全体の2割前後を目安にする紹介が多く見られます。強い水流を嫌うため、フィルターを使う場合は水流の弱いタイプを選び、落ち着いて休める陸場を必ず確保してください。餌は冷凍アカムシ・イトミミズなどの活き餌が基本で、幼体のうちから少しずつ人工飼料に慣らしていくことで、成体では人工飼料中心に切り替えられる場合もあるとされています。

よくある不調として、水質悪化や個体同士の噛み傷が誘因となる水カビ病(皮膚に白い綿状のカビが付着する)、細菌感染による皮膚炎などが挙げられます。いずれも水質・水温管理の甘さが根底にあり、こまめな水換えとフィルター管理が予防の基本です。

テトロドトキシンとハンドリングについて(重要)

アカハライモリは皮膚にテトロドトキシン(フグ毒と同じ神経毒)を保持しています。経口摂取した場合の中毒症状(唇や舌のしびれ、言語障害、運動失調などが段階的に進行するとされる)や致死量に関するデータは、フグ毒中毒についての医学的知見に基づくものです。イモリを素手で触れた場合に同様の中毒が起きることを直接示す医学的データは見つかっておらず、「健常な皮膚から吸収されにくく、触れただけでは中毒しない」というのは、飼育者の間で広く共有されている経験則です。

ただし、手指に傷がある状態で触れたり、触れた手で目や口などの粘膜に触れたりした場合にはリスクがあるとされているため、触った後は必ず手を洗うことを徹底してください。ハンドリング(手に乗せて触れ合うこと)自体を積極的に楽しむタイプの種ではなく、水槽内での観察を中心に楽しむのに向いています。

購入前に知っておきたいこと:準絶滅危惧種としての配慮

アカハライモリは、環境省レッドリスト(2020年版)で準絶滅危惧(NT)に指定されています。選定理由には、水田の圃場整備や水路のコンクリート化による生息環境の悪化に加えて、「インターネットサイト等で野外採集個体が100個体単位で大量かつ安価に販売されている事例」が飼育・販売目的の乱獲として問題視されていることが明記されています。

また、埼玉県では「埼玉県希少野生動植物の種の保護に関する条例」により種全体が指定希少野生動植物種として保護されており、愛知県では県内全域ではなく渥美半島に生息する地方個体群(通称:渥美種族)が条例により保護対象とされています。お住まいの地域によっては採集や飼育に関する規制が異なる場合があるため、野生個体を採集しようと考えている場合は、必ず居住地・採集地の自治体に最新の規制を確認してください(なお、ワシントン条約(CITES)の附属書には掲載されていません)。

こうした背景から、購入する際はペットショップや専門店で販売されている人工繁殖個体を選ぶことを強くおすすめします。生体価格自体は数百円程度からと非常に安価な種ですが、安さだけを基準に出所不明の個体を選ぶのではなく、人工繁殖個体であることが明記されている販売元を選ぶことが、この種を将来にわたって楽しむための責任ある選択です。

こんな人におすすめ

日本の里山を思わせる素朴な魅力を持つ固有種を、水槽の中で楽しみたい人に向いています。ウーパールーパーの完全水生とも、他の陸生5種とも異なる「半水生・イモリウム」という第三の飼育スタイルに興味がある人、生体価格を抑えつつも見応えのある飼育環境(レイアウト)作りを楽しみたい人にもおすすめです。一方で、ハンドリングよりも観察を楽しみたい人、水質・水温管理を丁寧に続けられる人に向いた種と言えます。


情報について:本記事の飼育情報・法規制に関する記載は、専門店解説・環境省いきものログ・都道府県公式情報等の複数の情報源をクロスチェックして編集部が整理したものです。水温の危険域や給餌頻度、寿命など、情報源によって数値に幅がある項目はその旨を明記しました。テトロドトキシンに関する記載は、経口摂取時の医学的知見と、皮膚接触時の経験則的な安全情報を区別して記載しています。実際の飼育・購入にあたっては、最新の情報を販売店・自治体等でご確認ください。(最終更新:2026年8月)

水辺の岩の上にいるアカハライモリの全身
お腹側から見た、赤と黒のまだら模様が特徴的なアカハライモリ
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