概要
ヘルマンリクガメは、地中海沿岸に広く分布する陸棲のカメで、リクガメの中では比較的小〜中型に収まることから、リクガメ飼育の入門種として選ばれることが多い種です。ただし亜種によって成体のサイズに差があり、日本国内で流通量が多いヒガシヘルマンリクガメ(Testudo hermanni boettgeri)は成体で甲長25〜30cm前後、大型個体(主にメス)では35cm近くまで成長することもあります。流通量の少ないニシヘルマンリクガメ(Testudo hermanni hermanni)はひとまわり小さく18〜20cm程度です。購入時にどちらの亜種か確認し、成長後のサイズを見越したケージ計画を立てることが重要です。また「入門種」といっても、爬虫類の中では最も長寿な部類に入り、数十年単位で家族の一員として付き合っていく覚悟が必要になります。
特徴
- 昼行性で、日中に活発に歩き回ったり日光浴をしたりする姿が観察しやすい
- 草食性が強く、野菜や牧草を中心とした食生活
- エサの時間が近づくと、飼育者の足音に反応して甲羅ごと近寄ってくるような個体差のある行動も見られる
- 成長すると相応の大きさになるため、成体を見据えたケージ・スペースの計画が必要
飼育のポイント
強い紫外線を含むUVBライトとバスキングランプによる高温スポットの再現が必須です。甲羅や骨の健康な成長にはUVBによるビタミンD3合成が欠かせません。屋外飼育が可能な気候・季節(目安として春〜秋の暖かい時期)であれば、天然の日光浴(紫外線対策なしのガラス越しではなく直射日光)を取り入れることも健康に良いとされています。ただし屋外飼育を行う場合は、脱走防止(囲いの下部を地中に埋め込む、体高の倍以上の高さを確保するなど)と、暑さを避けられる日陰スペースの確保が欠かせません。見落としがちなのが、ケージ・スペースが飼育年数とともに大きくなり続けるという点です。幼体のうちは小型ケージでも、特に流通量の多いヒガシヘルマンリクガメは成体で30cm前後(大型個体は35cm近く)に達するため、購入時点で成体後のスペースまで見越した設置場所の計画を立てておく必要があります。
購入前には、法的な確認事項もあります。ヘルマンリクガメはワシントン条約(CITES)附属書IIに掲載されている種で、輸入・流通には各国の許可・証明が関わります。購入時は、ショップから譲渡証明書や個体の由来が分かる書類を発行してもらい、保管しておくことをおすすめします。規制の詳細は変更されることがあるため、最新情報は環境省や購入予定のショップに確認してください。
こんな人におすすめ
ヘルマンリクガメを迎えるということは、数十年単位で暮らしを共にする家族を一人増やすということです。ハンドリングを楽しむペットというより、日中に歩き回る姿をゆっくり眺め、長い年月をかけて信頼関係を築いていく相手に近い存在です。将来的にケージを拡張できるスペースの余地があり、数十年先の生活の変化(引っ越し・転勤等)まで見据えて世話を引き継げる体制を考えられる人に向いています。
問い合わせで多い質問:「思ったよりケージが手狭になった」という相談は、ヒガシヘルマンリクガメを飼う人からよく聞かれます。ホームセンター等で売られている小型のプラケースは幼体用と考え、成体後は最低でも畳1畳分程度のスペースを想定しておくと安心です。
情報について:本記事の温度・湿度・法規制の情報は、リクガメ飼育書・専門店資料・環境省公表資料をもとに編集部で整理したものです。法規制は改正される場合があるため、購入前には必ず最新情報をご確認ください。(最終更新:2026年8月)


